子どもの頃、漠然とだったが、映画やドラマを見るたびに、映像の質感が作品ごとに違うことを不思議に思った。それは見ていて心が軽くなるもの、息苦しくなるもの、かっこいいと思うもの様々でその内容自体とは関係なかった。特に大映テレビが制作したドラマを見るととりわけ寂しくなった。
それが大人になって、色調など映像のトーンは制作者の意図によって変えられることを知った。そして写真が好きになり、写真でもそれができることも知ったが、フィルムだった当時、少し手間がかかり自分ですることはなかった。
だが、デジタルカメラを使うようになると、それが手軽にできるようになった。自分の作り出したい「色調」や「記憶色」が手軽に再現できるようになった。当初はセピアやレトロ調など選択の幅は少なかったが、次第に増えて行き、今ではカメラメーカー独自の色調が出せるモードをカメラに搭載してる。デジタルカメラになり、写真の「色」の決定がフィルムメーカーからカメラメーカーにゆだねられ、「エフェクト」「モード」などと呼ばれる質感(効果)までもカメラメーカーが作り出すようになった。
メーカー独自のエフェクトが確立するにつれ、メーカーの違うカメラを使い分ける楽しみがまた一つ増えた。今のお気に入りはGR。銀残しの「ブリーチバイパス」もよかったが、新エフェクト「かすか」が今の自分の心情と重なっている。
RICOH GR