2014-03-14

アンドレアス・グルスキー



 大阪・中之島の国立国際美術館で開催されているアンドレアス・グルスキー展。
 
 ドイツの現代写真を代表する写真家アンドレアス・グルスキー。会場には1980年の初期作品から2012年の最新作「カタール」まで約50点が独自の構成で展示されている。

 欧州の多くの家庭にあるであろうガスレンジを被写体にした「ガスレンジ」、アメリカの100円ショップの店内を切り取った「99セント」、北朝鮮のマスゲームの少女の群像を撮影した「平壌」、人口衛星からの海面や地表の写真を組み合せ加工した「オーシャン」など、スケールの違う被写体の数々に驚かされる。

 どの作品からもかすかに浮かびあがるのが<人々の営み>。それはキッチンの隅にあるガスレンジにともった青い炎であれ、宇宙からの視点であれ、この地球に生きる人々とその生活が、独自の構図と加工で表現されている。
 
 印象に強く残ったのは岐阜県飛騨市にあるスーパーカミオカンデのタンクの内部を撮った「カミオカンデ」。ニュートリノを検出するための巨大装置で、構造上、機能上とも<美>とは無縁であるはずの観測施設だが、施設一面に覆われた1000本の金色の光電子増倍管は、通常は人の目に触れることもない地中奥深く満たされた超純水の中で、神秘的な美しさを見せている。グルスキーは普段は見ることのできないこの地下1000メートルにある人造物を、超純水に浮かぶ小さなボートとそっと対比させる。その圧倒的な光景は、それが人の手によって作られた人造物ということをしばし忘れさせる。




大阪・中之島で
FUJIFILM X-E2  XF 35mm F1.4